カナダはビーバーの抜き毛の世界的な産地です。
漆黒の美しい毛皮です。
水性動物では、オットセイ（ファーシール）、ヌートリアと、このビーバーが綿毛が密集して、上質な毛皮になります。
２．1Kgあるコートのビーバー部分はベストに９８０gになりました。
フォックスの部分はお孫様４人分のロングタイでクリスマスプレゼント。

ウエストにシェアリグ紐、裾にゴムシェアリング
フォックス部分は120cmのロングタイ4本に

　
オリジナルは、カラーから前たてに、袖に斜めにフォックスが入ったデザインでした。
　
前たてやカラー外回りに、フォックスをトリミングする予定でしたが、
お孫さん４人分のタイに変更になりました。
参考デザインはミンクのベストです。

ビーバーは逃げる時、自分のしっぽを切って危険をのがれることから、自己犠牲などの象徴とされるようです。このしっぽは精力剤として珍重された時代もあったようです。
40年以上前、初めてビーバーを縫製したとき、綿毛だけとは知らず、水付け（damping)する時、綿毛にもしっかり水をつけてしまいました。翌日綿毛が縮れていました。グレージング（毛伸ばし）をした思い出があります。差毛のついたものは、差毛が綿毛の絡まったりするのを防いでいるのです。だから差毛のことをガードヘアーとも呼びます。
ビーバーの有効面積は1000～１２００平方センチで、幅３０cm、長さ４０～５０の台形です。
この時のお客様は四国高知の方でした。桂浜まで行き、仮縫いしました。懐かしい思い出になってます。
　　　　
私にとって、毛皮のカットの一本一本は文章の一行のようでした。
レットアウトによって、別の形に変えるのは、日本語を英語に翻訳するようで面白かったかもしれません。リフォームもまた同じように楽しい仕事です。